こんにちは、ボククボです。
骨折をすると大変な時期があるのを知っていますか?
正確には、骨折して手術が必要でもなかなか受けられない
という時期が1年にはいくつかあります。
前編では骨折手術の内部事情を、
後編では骨折に特に気を付ける時期について
解説します。
目次
骨折の手術とは?
骨折の治療には大きくわけて3つあります。
- 自然に治るのを待つ
- ギプスや装具で治るのを待つ
- 手術
手術が必要になる理由は、
- 骨折部のズレが大きい
- 少しのズレでも機能障害が残ってしまう部位
- ガッチリ固定してリハビリを早くする
が主な理由になります。
骨折した骨を直接組み立てて、
スクリューやプレート、ネイルと呼ばれるインプラントで
ガッチリ固定します
手術というと怖いイメージもありますが
手術で固定できれば、骨折自体の痛みはとれるので、
ギプス治療より楽なことも多いです。
手術はいつやる?
骨折の手術をするときには、
癒合しようとしている組織をいったん剥がしてきれいな形に戻すので、
骨折の治癒という面では、ケガをした日に逆戻り(リセット)になります。
また、癒合しかけた骨を元に戻すのは大変で、時間がたつほど
手術難易度は上がります。
入院期間短縮や仕事への復帰という点では、
ケガをした日に手術してしまうのが理想ですが、
これは、かなりラッキーな場合です。
手術日が決まる要因は4つあります。
- 骨折や患者さんの状態
- 麻酔科医・手術室スタッフの都合
- 整形外科医の都合
- インプラントの都合
です。以下で一つ一つ解説していきます。
骨折、患者さんの状態
まずはこれが優先されます。(そのはずです。。)
開放骨折(骨が皮膚を突き破る)、麻痺のある脊椎の骨折
では緊急手術になりますし、
高齢者の大腿骨骨折も何日も待っていると、亡くなってしまう方
もいますので、24時間以内の手術が勧められます。
(日本整形外科学会ガイドラインより)
逆に、皮膚や筋肉などの軟部組織状態が悪い場合は1-2週間待つという判断もありえます。
手術室・麻酔科医の都合
手術をするには
部屋(手術室)、麻酔科医、器械出看護師の確保が必要です。
整形外科医が手術室に交渉し、看護師と手術室の確保をします。
通常は緊急手術用麻酔科医、看護師がいるのが普通ですが、
他科の緊急手術などもあるので、枠は取り合いです。
17時をすぎると、緊急枠しかなくなるので、
その日17時までに終わらなかった手術も含めて緊急手術が縦に積み上がり、
通常の骨折のような準緊急手術はなかなか順番が回ってこないので、
夜遅くの入室になることもしばしばです。
ボククボが勤務してきた病院では、基本的に枠がいつも空いている
なんて病院はなかったので、
手術自体よりも手術枠確保でへとへとになります。
「自家麻酔(術者が麻酔をかけて手術もする)で、器械出しもいらないから
手術させてー」
という交渉もありますが、
高齢者の自家麻酔は危険ですからね。。。
整形外科医の都合
まあ、これは優先順位は低いですが、、
さすがに手術の空き枠があっても、
他の手術が入っていたり、外来枠と被っていたりすると
手術はできません。
患者さんはビックリしますが、
どうしても枠がなくて、手術を他の医師に頼むこともあります。
インプラントの都合
手術枠確保の前に、インプラント(骨に刺すスクリューやプレート)
を執刀医が発注をします。
病院に出入りするインプラント問屋さんに電話して、
使いそうな可能性があるものを一通りそろえてもらうのです。
病院に置いとけよ!
と思うかもしれませんが、
インプラントは骨にピッタリあうようにつくられており、一つの会社のプレートでも数十種類あります。
さらに大きさでも分類されており、病院に置いておくには多すぎます。
手術の人的準備が済んでいても
「平和島の倉庫から、今バイク便が出ましたー」
といって何時間も待ちぼうけを喰らうこともあります。
前編まとめ
骨折手術枠の確保、準備についてお判りいただけましたでしょうか。
- 骨折の手術は早い方がよい
- 手術枠の確保は、
手術室スタッフ・麻酔科医・整形外科医・インプラント
が揃う必要がある
手術枠の調整など大変ですし、手術したから給料が上がるわけでもない
ので、燃え尽き系の整形外科医(ボククボは違います!)は、
ある程度骨折症例がたまると
うちの病院はもう無理
と断ってしまうこともあるようです。
そもそも、人工関節や脊椎の予定手術がいっぱいのところは、
骨折の患者さんを受け入れませんしね。(手術料も安いし)
後編では、骨折手術枠確保が難しくなる時期について解説します。