医師のホンネ・裏話

【いい病院ランキング】人工関節手術件数のウラ側

投稿日:

こんにちは。ボククボです。

世の中には

「いい病院ランキング」

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というものを出している雑誌があります。

医師としては、

自分の病院が載っているとうれしいですが、

正直言うと、医師から見る「いい病院」と
このランキングが必ずしも一致しない気もしています。

患者数が増える理由

整形外科の人工関節手術の場合、

手術数は、他院や周辺開業医さんからの紹介の数が多ければ

手術数が多くなります。

紹介状なしに来る方で、手術まで必要な方は非常にまれですので

外来が混んでいても手術件数が伸びないってことはよくあります。

評判がよい

評判がいいと、患者数は増えます。

「手術を受けて、調子がよかったから、お友達を紹介します。」

という、おばあちゃまはよくいます。

ただ、人工膝関節・人工股関節の手術は一般的に手術成績が良い
(=たいてい誰がやってもうまくいく)

ので、差がつくのは手術の良しあしよりは、

外来での話しかけやすさ、気さくな雰囲気などが
評判に直結します。

医局で一つに集めている

この要因は最も強力です。

大学病院の医局という組織で、1つの病院には

1つの関節パーツ(例えば股関節だけ)しか手術しないと

決めているパターンです。

医局関連病院の一つに、股関節手術が必要な人が受診すると

「うちは脊椎手術しかしないから、○○病院に行ってください」

と紹介状を渡されます。

全関連病院でこのように受け渡しをするので、

一種類の手術件数が増え、ランキング上位に名を連ねます。

当然○○病院には、股関節のスペシャリストが集まっているので、

問題なく手術は受けられるでしょう。

ただし、このような病院では、スペシャリストを育てる
教育も担っているので、

何も言わなければ、若手医師が担当になることが多いです。

手術をする基準が低い

どこの医局にも属さないような、

都会にある私立病院ではとにかく手術を勧めてきます。

このような病院は「売上第一」であるからです。
(若手医師の教育など必要ない)

整形外科は手術をすると大きく
病院の売り上げに貢献します。

このような病院では、
自然と手術を宣伝するホームページも派手になります。

医師も手術数に応じたボーナスを貰っているので、

手術をする基準が低くなっています。

このような病院では、
まだまだ、軟骨が残っていて
手術をしなくても治る可能性がある方でも手術してしまう
といったことが起こっています。

まあ、合併症を起こさなければ、
患者さんは結果的に痛みは取れるので、満足されるんですけどね。
(手術しなくてもとれたかもしれないが、、、)

生活保護世帯の多い地域のお年寄りをターゲットに
手術件数を伸ばしている病院もあります。
いわゆる情報弱者を狙っているように思えてなりません。

手術件数=手術がうまい?

手術のうまさは経験(手術件数)にある程度比例します。

特に人工関節手術などは、手順がある程度決まっているので、

件数がおおければ、

医師はもちろん、手術室スタッフの教育も行き届いており、

トラブルが起こりにくいといえます。

手術時間も短く、出血量も少なく済む可能性が高いです。

しかし、悪い点もあります。

ランキングに出てくるような病院では、手術室の予定はパンパンです。

少しでも遅れがでる手術があると、予定手術が夜遅くまでかかり

最後の手術の方が夜9時入室などの事態になります。

少し手術が遅れそうになったり、
予定がいつも以上に詰まっていると、

途中経過が順調か確認する手順をはしょったり、
手順を簡略化したりします。

というか、だいたい有名病院の手術では
端折っていると思います。
その先生に言わせれば「慣れてるから大丈夫」だそうです。
(まあ実際大丈夫なのかもしれませんが、、、)

人工関節の手術だと
「手間だけど、この手順を追加してやったほうが、患者さんが
満足する気がするんだよね~。」

といった、術者によってこだわりがあります。

手術件数が多いと、スピードが重視されがちになりますね。

ランキングに出ないような病院にも
丁寧に手術してくれる経験豊富な医師はたくさんいるので

自分がうけるのであれば、そういう医師にのんびり
やってもらいたいです。

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以上です。

「医師が勧めるいい病院ランキング」も作ってほしいですね。

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