医師のホンネ・裏話

【医師の現場】オンライン初診に初挑戦

更新日:

こんにちは。ボククボです。

現在、
外出自粛中で食べるラー油にハマっています。

さて、新型コロナウイルス流行により、

厚生労働省より、一時的な措置として

電話などによる遠隔医療が認められ、

オンライン初診も認められました。

あくまでも、一時的な措置とのことですが、
流行が長引けば、このまま定着する可能性があります。

ボククボの病院では、オンライン診療環境など
ありませんが、

ひょんなことから、オンライン(電話)初診を
することになったので報告します。

オンライン初診することになった経緯

発熱者が予約?

朝、いつも通り整形外科外来を始めようとしたら

看護師さんがバタバタしています。

「一昨日、発熱外来にきた方が、
今日整形に予約入れて来てるんですけど。。。」

「まだ、微熱あるみたいです。
(PCR検査はもちろんしていない)」

まずは隔離

「なんで?」「バカなのか?」
「よっぽど重症?」
「とりあえず診察断っちゃう?」

とかいろいろ頭に巡りましたが、

とりあえず待合室に入れずに外(車)で
待っててもらうように指示。

落ち着いて考えます。

問題点の整理

考慮すべき問題点を挙げてみます。

  • 患者が新型コロナウイルス感染者かも
  • 他の患者から隔離すべき
  • 診察する医師は防護具などフル装備必要
    (ボククボはマスクしかしてないよ)
  • 患者が(整形外科的な意味で)重症かも

整理してみると、

「隔離した状態で、ボククボへの感染リスクを最小にして
重症かどうか判断する。」

というのがよさそうです。

オンライン診療があるじゃない

電話でお話を聞くことにしました。
(カルテに電話番号記載あり)

電話だけでの問診で、重症かどうかの判断
検査はもちろんできません。

「これが、オンライン初診か。。。」

少しワクワクしている自分がいました。
(ブログネタになるな。。。。)

オンライン初診の実際

患者さんはもともと、健康な40代の男性。

数日前からの、
腰痛と左足のしびれが主訴なようです。

痛みとしびれはごく軽度で、
昨日より良くなっているけど
はじめての経験だったので、不安とのこと。

「軽度なら、熱あるときにくるなよ」
という感情をおさえて問診をつづけます。
医学知識がなければ不安も当然です。

ボククボの診察

年齢・経過からは、
腰椎椎間板ヘルニアが濃厚です。

脊椎分離すべり症/すべり症などもあり得ます。

まあ、細かい診断はする必要がないので

「数週間(自宅隔離機関)対症療法のみでも大丈夫か?」

が重要ポイントです。

すなわち
化膿性椎間板炎(感染)/ガンの骨転移の除外です。

通常ならレントゲンとるところですが、
(以前の記事をご参照ください)

  • もともと健康で若い
  • 発症後数日で、改善傾向
  • 安静にすると痛みがない

ことから、可能性は低いと判断しました。

ご本人にもそのようにお伝えし、

「痛み止めをお出ししましょうか。」

と聞きましたが、

患者「いえ、痛みはそこまでじゃないのでいいです。」

ボククボ「。。。そうですか。では。」

まあ、心配性のひとなのかな。。。

オンライン診察の欠点

はじめて、オンライン初診をやってみて
いくつか欠点がみえてきました

症状の場所がはっきりしない

問診から、痛いところを推定するのですが、

患者さんは、当然ながら解剖学的用語をしりません。

「腰が痛い」

といっても、

実は背中やお尻のあたりのことを
指していることもあります。

椎間板ヘルニアの診察なら
感覚障害の範囲は、障害神経の同定に
重要です。

対面診療なら、押してみたり、
症状のある範囲を触ってもらったりで
わかりますが、

電話のみでは、時間が非常にかかりました。

テレビ電話だったとしても、
お年寄りなんかは、
なかなか症状を伝えることは難しいと思います。

診察所見がとれない

整形外科の場合は、

わざと疼痛を誘発するような、診察方法があり

疼痛部位を絞り込んでいきます。

当然オンラインではできないので、情報はほぼ
ないに等しいです。

検査やデータのみで指導する
健診のような診察スタイルならよいでしょうが、

オンラインだと
整形外科には正直向かないかもしれません。

その人の雰囲気がわからない

医者は、
患者さんが診察室に入ってくるとき
の立ち居振る舞いも

一つの情報としてみています。

「あれ、この人麻痺ある?脳梗塞後?」

とか

「問診に痛くて歩けないって書いてあるわりに、
スタスタ入ってきたな。」

とか考えます。

あとは、
「かなり神経質そうな人だな。」
とか
「なんか相当怒ってるな。待ち時間長すぎた?」

とかも雰囲気をみながから、診察に入ります。

非医学的なことも含まれますが、

どの程度の検査を求めているか?
病院にどの程度のことを期待しているかを

把握しておかないとトラブルになります。

電話や、ビデオ電話では、
なかなかこれがつかめません。

今回の診察でも、どんな人かわからなかった
ので、

「あとは大丈夫ですか?何か不十分な点はあります?」

なんて柄にもないことを聞いてしまいました。

オンライン診療が普及するには

初診は難易度高い

初診はやはり、難しいです。

緊急性の高い疾患も除外できていない状態で

症状やその方の性格も把握できていない状態。

医師も相当身構える必要があるので、

ざっくばらんな話はできません。
無難なことしか言えずに、

「何かあれば、直接いらしてください」

という対応になるでしょう。

今後、オンライン診察による医療事故
訴訟などもあると思います。

そして、初診料取っている以上は、
「オンラインだから、無罪」
とはなりません。

カルテに
「オンライン診察で、検査・診察が不十分な可能性があり、
症状悪化あれば、すぐに対面受診するよう説明した。」

と書くよう病院の顧問弁護士から指導されることでしょう。

まあ、患者さんが大して期待してなければいいんですが。

処方箋

処方箋は、現在紙ベースです。

印刷された処方箋に、医師がハンコ押して渡しています。

現在、電話再診で継続処方する方が多いですが、

結局、処方箋を病院まで取りに来ています。

さすがに、電子化されないと、
オンライン診察の意味なし感がすごいですね。

医師会の反対

医師会は普及に反対でしょう。

オンライン化の波に乗れない
いわゆる「町のお医者さん」に患者は行かなくなり、

オンライン診察システムを大規模に導入した
「医療法人グループ」
に患者が流れてしまうからです。

普通の業種なら、淘汰されてしかるべきですが、

医師会は「町のお医者さん」
が会員のほとんどを占めてますからね。

電子カルテも厚労省は2001年から普及推進
していますが、
いまだにクリニックには普及しません。

まとめ

オンライン初診を初体験したついでに、

遠隔医療の将来について、思い巡らしてみました。

オンライン専門クリニックなら初期投資不要で
儲かるよなぁ。


医師会が許すはずないけど。


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