こんにちは。ボククボです。
総合病院で整形外科医をしています。
「人工関節手術うけたいけど、
手術費用が高そうだから心配。。。」
という方も多いのではないでしょうか。
病院では、だれも教えてくれませんが
じつは、手術は月初に行うと、
月末に比べて医療費の支払い額が半分程度
になることが多いのです。
(個室代は別。通常の保険診療の場合)
なぜこのようなことが起こるのでしょうか?
目次
ひみつは高額療養費制度
自己負担には上限がある
手術をうけると、高額の手術料がかかります。
人工股関節手術では、手術手技の料金だけで
376,900円かかります。
さらに、人工関節などのインプラント料も
100万円近くかかります。(メーカーにもよりますが)
さらに全身麻酔料などが加算されますので、
一日で超高額の医療費がかかることになります。
通常の健康保険で、これらの額の1-3割を負担しなくては
いけないのでしょうか?
答えはNOです。
日本には、高額療養費制度があるからです。
医療機関や薬局の窓口で支払う医療費が1か月(歴月:1日から末日まで)で上限額を超えた場合、その超えた額を支給する「高額療養費制度」があります。
厚生労働省ホームページ
年齢、収入などにより変わりますが、
一例をお見せすると、
70歳以上・年収約370万円~770万円、保険負担が3割の場合
自分で払う金額は、87,430円になります。
(個室代などは除く)
これは、手術にいくらかかっても同じです。
日本はいい国ですね。
上限を超えた分は、国が負担してくれます。
ん?一か月の上限額?
ここで、高額療養費制度の定義に戻ります。
「医療費が1か月(歴月:1日から末日まで)で上限額を
超えた場合、その超えた額を支給する」
とあります。
先ほど申しあげたとおり、
高額な医療費が発生するのは手術日です。
この日だけで上限に達してしまいます。
月をまたぐと上限額がリセット
つまり極端な話、前述の例の方が
5月31日に手術を受けると
手術料として、高額療養費の87,430円を支払う
ことになります。
6/1以降の術後入院(2-3週間)分の入院費用が
またかかりますので、
6月入院費用が上限程度まで達した場合
再度87,430円支払うことになります。
この場合、支払いは
「月初に手術→その月内に退院」
と比べて、支払いは倍になります。
月初に手術を受けるには
つづいて、手術日の相談方法です。
当然のことながら、医者は患者さんの支払い額
まで心配しません。
手術日を外来で相談して、
手術日程表っていうファイルに書き込んでいきます。
患者さんさえよければ、空いている日程の
最短日に決めることになるでしょう。
はじめに注意!
緊急性があったり、進行性の病気であれば、
医師のすすめる日程に従ってください。
このような場合、
医師はあなたのために、ほうぼうに頭を下げて
手術枠にねじ込んでいます。
そこで「月初でお願いします」なんていうと
ブチギレられます。
海外だとホテルマンみたいな人がマネジメントするので
医師が手術室、麻酔科に
頼み込むみたいなことはないようですね。
うらやましい。
さりげなく月初に
緊急性がない場合、おそらく外来で
いくつか日程の提示があると思います。
そのときには
「5/30は都合がわるいので、次の日程ありますか?」
とか
いって避けます。
高額療養費制度の知識があるツワモノは
あまりいないので、月初が埋まっているって
ことは稀です。
(日本は平和ですね。)
まあ、人工関節なら数週間の入院なので
中旬ぐらいなら許容範囲でしょう。
チェックポイント
チェックするポイントとしては、
入院日も手術日と同じ月になっているかです。
総合病院では、入院初日に加算される
ボーナス加算のようなものがあります。
これも高額になりがちなので、
「5/31入院、6/1手術」などのパターンは
避けた方がよいいでしょう。
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まとめ
今回は、手術にまつわるお金のお話でした。
「手術を受けるのにお金のことなんて。。。」
とためらうかもしれませんが、
今回のようなことは説明するのが面倒だから、
わざわざ話しませんが
患者さんがこの制度をうまく使おうとする分には
医者はなんとも思っていません。
制度について勉強した人が、得をするのは
どの世界でも同じですしね。
お友達にも教えてあげてください。
お気軽にコメントくださいね。