医師のホンネ・裏話

【医療のウラ側】ご遺体を用いた手術練習

更新日:

こんにちは。ボククボです。

今日は、手術の練習の話です。

ほとんどの整形外科の手術では、
人工関節やスクリューなどのインプラントを使います。

新製品を使う場合、どの医師も

『初めての手術』

を経験するわけですが、

実際の患者さんを相手に
ぶっつけ本番でやるのでしょうか?

実は、「初めての手術」の前に、
整形外科医はカダバー(屍体・「したい」と読みます)

を用いた練習をしています。

練習は必要か?

人工関節の手術に慣れている医師が、
新製品の人工関節を使う場合に限定してお話してみます。

(全く新しい手術であれば、事情は複雑ですので、、)

アプローチ(関節までの到達手順)は共通

人工関節手術の場合、
関節の表面を人工物に入れ替えるわけですが、

手術がはじまるとまずは、切開をすすめて関節に到達しないと
いけません。

このアプローチ方法は、
多くの手術で共通だったり、部分的に同じだったりするので

経験豊富な整形外科医にとっては、

練習は必要ありません。

専用デバイスの使い方

関節に到達すると、骨を削ったり、切り取ったりするわけですが、
その人工関節に応じた専用デバイスがあります。

新製品といえば、
インプラント自体の形状や素材に目が行きがちですが、

骨切り用デバイスも、
製品によってアップデートされているのです。

そして、手順に応じた各種デバイスは何十種類もあるので、
筋書きを覚える必要があります。

このあたりの手順は、輸入元業者さんが一番詳しいので、
石膏でできた骨模型を切りながら一緒に確認・練習します。

模擬骨では不十分

ここまで来ると、実際の患者さんで使っても
できそうに思えます。

単なるマイナーチェンジ製品であればこれで十分です。

しかし、新コンセプトの製品では、不十分です。

十中八九、術中トラブルが起こります。

模擬骨には、筋肉や靭帯がついているわけではないので
手順書通りに進みますが、
実際にはデバイスがバカでかくて、肉と干渉したり、

あらかじめ、組織を剥がしたり、
一部骨を削らないとうまくいかない、といった
手順書に載らない手順が存在するからです。

カダバー(屍体)を用いた模擬手術

そこで登場するのが、カダバー手術です。
Fresh Frozen Cadaver(新鮮凍結屍体)を用いると
実際の手術のような体験ができるのです。

どこでやっている?

カダバーセミナーはインプラント業者主催で行われますが、
開催はたいてい海外です。

USA、シンガポール、タイで行われることが多いですね。

残念ながら日本では、
開催のハードルが高く、業者と関係がない
学会主導のものがまれに開催されるだけです。

欧米の有名大学病院には、
カダバートレーニングセンターがありますので
日本とは雲泥の差ですね。。

タイは、宗教上の理由から、
死後のご遺体自体にを大事にする傾向がないので
開催しやすい(=ご遺体が集まりやすい)
と言われています。

カダバーセミナーの内容

日程としては丸々2日間かけて、講義(英語)と実習があります。

実習室に入ると、参加者数分の屍体がずらりと並んでいます。

勘違いしないでいただきたいのは、並んでいるのは
膝だけとか、足だけとかです。

手術器具をもちいて、一通り手順を確認した後は、
自由なので、普段手を付けられないような神経や主要血管の走行
を確認します。

余すところなく堪能するのが、ご遺体に対する敬意です。

屍体は、専用業者が
HIVなどの感染症などがないことを確認して
用意しているようです。

費用は?

参加費はだいたい10数万ぐらいでしょうか。
タイだと半額ぐらいになります。

参加費に加えて、飛行機代、ホテル代もかかりますし、
すべて自腹なので、参加すると30万ぐらいはかかります。

業務上の理由で行くのですが、
行かなくても診療はできますし学会ではないので、
病院から補助はでません。。。
有給で行く感じですね。

有名医師であれば、日本人インストラクター役として業者から招待されます。

まとめ

30万の費用が自腹、2泊4日でとんぼ返り、
帰国後そのまま勤務といった条件ですが、

体力と向上心のある若手医師にとっては人気があり、

参加枠はすぐに埋まってしまいます。
(若手独身医師はバンコクがお好きというのもあります 笑)

ボククボは昔ほど体力がなく、子供もこれからお金がかかるので
参加を控えています。。
(日本に普及してからの手術であれば、経験ある医師のところに見学に
行けば済むので)

いつかインストラクターで招待されたいですね。。。

今回は以上です。

お気軽にコメントくださいね。




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